ケアマネ
ケアプランはラブレター
主任ケアマネジャー/法定研修講師
森田由三子
Morita Yumiko
ケアマネ

私は、ケアマネジャーとしての経験を通じて、数々の感動的なエピソードに出会いました。 私は度々ケアマネの試験合格者に向けた研修をする時があるのですが、その研修中に私は受講者へ向けて聞いてみたことがあります。ケアマネとしての資格を得ましたが、今後ケアマネの仕事をやっていきたいかと。するとこの道に進みたいと思う人は少なく、ケアマネジャーになりたいと本当に思っている人は、80人中たった2人ほどでした。
他の人々は、キャリアアップや他の目的を持って受験することが多かったのです。 この現状には、何らかの原因や現場のケアマネジャーたちにも責任があったのかもしれません。

現場では、しばしば理不尽な状況に直面したケアマネさんが大勢いました。 自分の事業所に必ずデイサービスが回ってくるとか、数字を達成しなければならないというプレッシャーの中プランを作成していました。 介護福祉士だったころは一生懸命に利用者さんのためにケアをすると直接感謝の言葉を頂くことが多くあります。しかしケアマネはプランを作り上げても、結局は国の給付管理の目的や施設の地域資源喪失になるなどの問題に直面し、理想とするプランと真剣に向き合わなくなりました。

ケアマネ

地域には大切な資源があります。 しかし、事業所が拡大するにつれて、その価値が薄れていくのです。 高齢者たちが大勢一緒にいても一人で孤立する現実を目の当たりにしました。
私がケアマネジャーとしての道に進んだのは1998年のことでした。 当時は障がい者福祉法の施設で、障がい児を療養する保母として働いていました。 その頃から、私は利用者さんたちの将来を見据えていました。介護保険が制度として生まれたばかりで、高齢者を支えるために生まれたのだと感じ、そのころ一緒に働いていた保母たち3人で「やろう、やろう!」と声を上げ一緒に受験しました。
3人ともその第1回の試験で合格しました。 高齢者の方々も私たちのケアを必要としており、システムが確立されていく中で、私たちの役割はますます重要になっていくことを実感しました。

ケアマネ
ケアマネ

私がケアマネジャーにしかできないと感じたことは、利用者さんの最後に寄り添うことです。 人は誰しも1度 きりの人生です。その人生の最後がどう良かったのか感じることも、普通は1度きりです。しかし、この仕事をしていると、利用者さんたちが最後の人生をどう過ごすか、自分の人生の終わりを向き合え、良かったと思えるのか、何度も、何度も、真剣に向き合うことができるのです。 グリーフケアと呼ばれるこのプロセスは、多くの人にとっては苦痛なものかもしれませんが、私にとってはご利用者様の人生の最後に真剣に向き合わせていただけた、大切な瞬間でもありました。
医療のケアは、最期になるときにしか提供できません。 しかし、私たちケアマネジャーは誰かの最後に立ち会うことができるのです。 それは何よりも尊い瞬間であります。 私たちのケアプランは、まるでラブレターのようなものです。利用者さんたちにとって、私たちが最後に残すメッセージとなるのです。
私のケアマネージャーとしての旅はまだ続いています。 これからもたくさんの場面に出会いながら、利用者さんたちの人生に寄り添い、ラブレターのようなケアプランを提供していきたいと心から思っています。